蒼い月と紅の灯火

「蒼兎、もう嘘つかないでね」




「どうしたの急に。嘘は、まぁごめんね」




「自分に嘘ついちゃだめだよ」




目を見開いて私を見つめる。
そんな顔されるほど変なことは言っていないとは思う。




でも、本当の事を言っただけだ。
自分に嘘をつき続けたら、いつか壊れてしまうから。




そんな風になってほしくない。




(どうして……)




ふと、浮かんだ。
あんな風になってはいけないと。




私は他に、何を知っているの?
何も分からない自分が、怖い。





それとはまた別に、本能的に何かを感じ取っていた?
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