エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~


ムキになった私の極論に、部長はばかみたいに真面目に答える。

「……そりゃ、朝礼中だとか会議中に公衆の面前でやられたら僕だってみっともないと思いますけど、他人に迷惑をかけない範囲で密やかにやればいんじゃないですか? ま、業務時間外だとしてもさすがに、キスの先はダメです。オフィスを汚してしまいそうですしね」

お、お、オフィスを汚してしまいそうって……まだ一滴もお酒を飲まないうちから、何を言うのこの人は。

「そんなの当たり前です! というか、たとえキスだって不潔です!」

その先なんて、言語道断! 私はぴしゃりと言って、部長からぷいと顔をそむけた。

「おもしろいですねきみは。ええと、汐月巴さん、でしたよね?」

「……そうですけど」

仏頂面のまま答えた私に、部長はわけのわからない提案をした。

「どうでしょう。別の場所でもうちょっと、個人的にお話しませんか?」

「へ? 別の場所? 個人的……?」

「ええ。静かに過ごせるバーか何かで」

ぽかんとしているうちに、部長は席を立って新人くんのもとへと歩いていくと、遅れたことを詫びつつ彼を激励していた。

それからこの会の幹事である社員にお金を渡しに行ったかと思うと、また私の元へと戻ってきて。


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