エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
6.失恋を癒す存在
パーティーから二日後の月曜日。
私は昼休みに露子を屋上に誘い、さっそくパーティーでの出来事を報告することにした。ベンチに並んで座り、簡単なランチを済ませてから、順を追って話す。
最初こそ黙って聞いていた彼女だけど、話が百合さんのことにさしかかると、表情が変わった。
「元婚約者が青柳社長の娘……?」
さすがの露子でも、かなり驚いたようだ。目を丸くする彼女に私はこくんと頷き、説明を加える。
「うん。それが前に話した“百合さん”っていう人だったみたい。“元婚約者”とはいえ、彼女の方はやり直したいみたいなこと言ってた」
そして、父親である社長も、娘を応援している。反発しているのは一誠さんだけで……。
「なるほどねー……びっくりだけどある意味納得。部長は復縁を迫られるのがウザいから、巴に恋人のフリさせるなんてこと思いついたんだ」
露子の放った言葉は、パーティーの後でいろいろ考えたなかで自分自身がたどりついた結論と同じで、やっぱり誰が見てもそうなんだなと思うと、傷つく自分がいた。
一誠さんが私をそばに置く理由は、元婚約者の百合さんを自分から遠ざけるため。
そして、彼女とやり直す気がないことを、本人はもとより周囲にわからせるため。……ただ、それだけ。