エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「所詮、利用されてるだけなんだよね」
思わずため息交じりにこぼすと、露子がじっと私の顔を見つめ、こう指摘した。
「……巴。やっぱり部長に惚れたんでしょ」
「え。いやそんなこと……」
否定の言葉を口にしようとしたけれど、途中でやめた。嘘をついたところで、どうせ露子の目はごまかせない。
「そんなこと……実は、ある」
蚊の鳴くような声で、ぼそりと白状する。
露子は苦笑して、ただ「そっか……」とだけ言った。それから組んだ足に肘をつき、どこか遠くの一点をぼんやり見ている。どこか虚ろなその横顔に、私はわざと明るく言った。
「……でも、諦めるつもりだよ。というか、ライバルが社長令嬢じゃ、そうせざるを得ないよ」
「巴……」
「一誠さんのためにも、きっとそれが一番いい」
パーティーの日は結局私たちを見逃してくれた社長だけど、あれで終わりだとは思えない。
前に社長の椅子がどうこう言っていたし、仕事がらみで一誠さんに迷惑をかけてしまうことになるかもしれない。
でも、私なんかの存在で、彼の出世が脅かされるなんて、あってはならないことだと思うから……。