エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

忘れようとしても忘れられない、一誠さんと過ごした日々の記憶が、頭の中を駆け巡る。

でも、この想いが報われることなんかなくて……彼は、別の人と結婚してしまう。

胸の痛みを堪え、下唇を噛む私をじっと見ていた成田くんは、やがて申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい。汐月さんを困らせようとしたわけじゃないんです。ただ、俺が伝えたかっただけで……。別に今すぐ付き合いたいとかじゃなくて、少しでも男として意識してもらえたらなって思って」

「成田くん……」

今のキスと告白で、確かに彼の見方は変わったけれど……。こんな状態で、一緒に仕事なんかできる?

会社での通常業務は何とかなったとしても、来週には班員だけで出かける泊りの出張だってあるのに。

不安にさいなまれて浮かない顔をする私に、成田くんはさらにこう続けた。

「ただ、俺……部長から、あなたを奪いたいんです」

どくん、と心臓が大きく揺れた。この子、私と部長のこと、気づいていたの……!?


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