エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「……成田、くん」
椅子から立って、彼の正面に立つ。穢れのない澄んだ瞳が私を映す。
そこに映る私は、臆病で、弱くて、ずるい女。……だけど、彼ならきっと、そんな私を浄化してくれるんじゃないかって思えて。
「実は……部長とはね、もう終わったの。私、やっぱり遊ばれてたみたいで。だから……」
必死で口角を上げ、何でもないことのように話す。
その間中、ちくちくと胸にとげが刺さるのには気づかないふりをして、私はとうとう決定的な言葉を口にする。
「付き合って……くれる、かな。私も、成田くんのこと、好きになりたいから」
一瞬だけ沈黙が流れ、断られてしまうかもと覚悟したけれど、やがて真剣だった成田くんの表情が、くしゃっと無邪気な笑顔になって。
「ありがとうございます。よかった……俺、絶対大切にしますから」
たまらず私を抱き寄せ、噛み締めるように呟いた彼。そのぬくもりに包まれながら、私は“これでいいんだ”と、何度も自分に言い聞かせた。
「うん。よろしくね。……唯人くん」