エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

ぽつりと彼の下の名前を呼ぶと、ガバッと身体を離した彼がはじける笑顔を向けてくれた。

感情のわかりやすい彼は可愛いし、何より安心できるから、きっとうまくいくよね。

何でも秘密主義で、最後まで本心を見せてくれなかった誰かさんとは違って――。

唯人くんの腕の中でそんなことを思って、けれど途中で思考を閉じた。

一誠さんのことはもういいじゃない。今は自分を抱きしめてくれている人の優しさに、体温に、集中しよう。

二人きりのオフィスで、私と唯人くんは長い間、そうして抱き合っていた。





ゴールデンウィークも後半の連休に入ると、私の心もだいぶ落ち着いてきた。それはたぶん、他でもない唯人くんのおかげ。

彼は他愛もないことでマメに連絡をくれるので、自然と一誠さんのことを思い出す機会が減り、穏やかに過ごすことができたのだ。

彼とのことは、休み中に電話で露子にも報告した。

『やっぱりね~。成田くんが巴を好きなのは見ればわかるし、むしろやっと告白したかって感じ』

露子はまったく驚くことなく、その反応に私の方が驚いてしまった。



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