エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
7.「シミュレーションは、終了です」
唯人くんにデートの途中でばっくれられて、その後何のフォローもないまま、GWが明けた。明日からは一緒に出張だというのに、彼とどう接したらいいんだか……。
どんよりした私の心と同じく、その日は朝から空模様も怪しかった。黒い雲が広がり、雷もゴロゴロ鳴っていた。
さすがに、彼女として文句の一つくらい言ってもいいだろうか。というか、理由を聞かなきゃ納得できない。緊急の用時なら、あの時そう言ってくれればよかったのに……。
悶々としながら朝のオフィスに入ると、すでに出勤していた主任が私の姿を見るなり慌てた様子で駆け寄ってきた。
「汐月さん、大変だ」
「どうしたんですか? 血相変えて……」
「佐伯さんと成田くんが、二人とも病欠で、明日からの出張も無理だって……」
「えっ?」
びょ、病欠? もしかして、唯人くんデートの途中で帰ったのって、具合悪くて……?
にしても、露子も休みで、二人そろって出張が無理……それって。
状況を理解した私は、一気に青ざめた。