エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「ど、どうするんですか、授業……!」
先生として喋るのは主任ひとりだとしても、私と露子と唯人くんは、パソコンで映像を見せる準備をしたり、教材を黒板に貼ったり、子どもたちの間を回って個別に質問に答えたりと、授業をサポートする役目を担うはずだった。
一人欠けるだけならまだしも、二人となるとけっこう痛い。
「……汐月さんに、ひとり三役をやってもらうしかない、かな」
「そりゃ、努力はしますけど……ひとりでできる事には限界が」
「だよな……。ちょっと部長に相談してみるよ」
主任は暗い顔で、一誠さんのいるガラス張りの部屋へ向かっていく。
一誠さんの人格はともかく、仕事のことなら信頼できるはずだから、なんとかしてくれるよね……?
はらはらしながら見守っていると、しばらくして主任が一誠さんにぺこぺこと頭を下げながら、部屋から出てきた。
その顔には安堵の色が浮かんでいて、きっとほかの班から誰か応援をよこしてくれるだとか、何かしらの対応をしてもらえたんだと思っていたら。