エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「助かったよ……。部長がじきじきに同行して、授業の方を担当してくれるってさ。一人足りないことに変わりはないけど、サポート役は俺と汐月さんで何とかしよう」

え。一誠さんが、同行……?

「はい、わかりまし……た」

返事をしながら、よかった……という思いと、モヤモヤとした思いが同居していた。

もともと二日目は授業を見に来るということだったけど、二日間とも一緒に行動するのか。しかも、一誠さんを威嚇してくれる露子は不在。不安だ……。

ま、まぁ、もう関係ないよね。私には唯人くんという彼氏がいて、彼には百合さんという婚約者がいるんだから。

無理やり納得して、私は主任とともに、出張授業の内容、進め方の最終調整に取り掛かった。





【具合、大丈夫? お見舞い行こうか?】

仕事を終え、下りのエレベーターに乗り込みながら、唯人くんにメッセージを送った。

彼の家の場所は知らないけれど、住所を教えてもらえばスマホでなんとか道を調べられるだろう。

朝は降っていなかった雨も午後には振り出し気温も下がってきたから、風邪なら拗らせないか心配だし……。


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