エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「と、閉じ込められたんですか? 私たち」
「そんなに怖がらなくて大丈夫です。今、外に連絡しますから」
テンパる私と対照的に、落ち着いた様子の一誠さんが、階数ボタンと同じパネル上にある、電話マークのボタンを押した。
そして応対した管理会社の担当者に淡々と状況を説明すると、急いでこちらに技術者を向かわせてくれることになった。
「これで大丈夫です。いずれ助けが来ますよ」
「あ、ありがとうございます……」
助けが来るのはわかったけれど、こんな事態に陥るのは初めてで、恐怖はなかなか消えない。
外ではまだ雷が鳴り続けているし、すぐに復旧というわけにはいかなそう。何時間も閉じこめられて、窒息する……なんてのも、テレビで見たことあるよ……。
小さく震える自分の身体を、自分の腕でぎゅっと抱く。そんな緊迫した状況にもかかわらず、一誠さんは平然と、全く関係ないことを話しかけてきた。
「佐伯さんと成田くん、そろってお休みのようですね」
「あ、はい……。二人とも、体調悪いみたいで」
主任から聞いて知っている情報だろうに、なんでまた私にも聞いてくるんだろう。
疑問に思う私の横で、一誠さんがふっと鼻を鳴らし小さく笑った。