エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「おそらく、同じ病気にかかっているのでしょうね」
へ? ……別に同じ日に休んだからって、同じ病気とは限らなくない? しかも、なんで笑いながら言うの?
「なんでわかるんですか? まぁ同じ職場だしデスクも近いから、あり得ないとは言いませんけど」
「僕が言っているのはそういうことではありません」
一誠さんは再び嘲笑するように鼻を鳴らし、それから私の方を見て言った。
「あの二人は、病気をうつし合うような仲だということです」
「は……?」
あまりに突拍子のない話に、私は一瞬エレベーターに閉じ込められている恐怖を忘れた。
露子と、唯人くんが、病気をうつし合うような仲……? いやいや、唯人くんの彼女はこの私です。ちょうどいい、一誠さんにも教えてあげよう。
「あの、今私、成田くんとお付き合いしてるんですよ? それが本当なら、私浮気されてるってことじゃないですか。あの真面目で優しい彼と、私の友達である露子がそんなことになるわけ……」
笑って彼の意見を流そうとしたけれど、途中で一誠さんが真剣に私を見つめていることに気付いて笑顔が不自然に強張った。
うそ……これって……もしや、笑い事ではない……?