エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「一誠さん……それって」
「偽物の恋人じゃなく、本物の恋人になって欲しい。そういう意味です」
どうしよう……うれしい。ずっと、一誠さんは私のこと、遊び相手としか思ってないんだろうって、むなしかったから……。
「私……で、いいんですか?」
嬉しいけれど、手放しで喜べないのは、百合さんのような美人で家柄もいいお嬢様が彼の元婚約者だからだ。
彼女に比べたら、私なんかホント、中の中っていう平凡レベルのつまらない女。付き合っても、特に出世できるとかそういう特典もないし……。
そんな、ネガティブな思考を巡らせる私に、一誠さんは自信を持たせるように言ってくれる。
「僕は、巴がいい」
「一誠さん……」
「好きだよ。ほかの誰にも、渡したくない」
いつかも言われたことのある“好き”の二文字。
けれど、どこか現実味の薄かったあの時とは違って、今度は彼の心からの言葉だと、素直に信じられた。
「私も……です。一誠さんが好き……」