エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

私はうれし涙を滲ませながら、力強く返事をした。

ちょうどその瞬間、エレベーターのドアがゆっくりと開いて。

「あ……その、すみません、復旧、完了です」

黄色のヘルメットに作業着姿の気弱そうなオジサンが、気まずそうに頬を赤くしながらぺこりと頭を下げた。

も、もしかして、今の恥ずかしい告白シーン、この人に見られた……!?

湯気が出そうなほど顔が熱くなり、情けない顔で一誠さんを見上げると、彼はにっこり笑ってとんでもないことを言う。

「よかったですね。キスで止めておいて」

「そ、そういう問題じゃ……!」

ヘルメットのオジサンは私たちの会話にさらに居たたまれなくなったみたいだけど、私たちは一応彼にお礼を言ってから、一緒に会社を出た。

幸福で浮かれている私は、歩きながら差し出された一誠さんの大きな手に迷わず自分の手を重ね、会社のそばであるという事も気にせず、堂々と手をつないで歩いた。

「出張の準備は万全ですか?」

「はい。一誠さんが、先生役をしてくれるんですよね。楽しみです」

「別に、楽しみにするほどのことじゃないですよ。朝礼ではいつもみんなの前で喋ってるじゃないですか」

「それでも、子どもを前にどんな表情をするのかなとか、一誠さんのいつもと違う顔が見れたらいいなって」

にこにこと素直な気持ちを話していたら、一誠さんにまじまじと見つめられてしまい、首を傾げる。


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