エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
その成果にホッとしつつ、お疲れ様の意味もこめて、夜には私と一誠さん、そして主任の三人で、食事をすることに。
駅のそばの、飲食店が並ぶ通りを歩きながら、主任がスマホを使って美味しいお店をリサーチしてくれた。
「ここが評価高いみたいです。行ってみましょう」
立ち止まった和風の建物の前で、主任がスマホを見せてくれる。
「へえ~とちぎ和牛しゃぶしゃぶ……。楽しみです」
「汐月さん、よだれが出てますよ」
「えっ」
私の口元をまじまじと見た一誠さんに指摘され、手のひらで口元を覆う。
「冗談です」
「ちょっともー! ほんとに出てたかと思ったじゃないですか!」
「そんなに怒ると今度は鼻毛が」
「えっ」
「冗談です」
一誠さんは、声を抑えてくつくつと喉で笑う。
か、からかわれてる……。まともに相手にしちゃダメだ。
そっぽを向いた先で、なんだか微笑ましいものを見るような穏やかな顔つきの主任にしみじみとこういわれる。
「普段から思ってたけど、仲いいよねえ部長と汐月さん」
「そ、そんなことは……」