エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
一気に照れ臭くなって頬が熱くなるのを感じていると、そんな私を見てまた一誠さんは面白そうに笑っていた。
うう、社内恋愛って本当にやりづらい。けど……それ以上に、そばにいられるのはうれしいし、安心する。
浮気をした元カレの言い分も、あのタイミングで言うのはナシだとしても、内容については……まぁ、少しは共感できるようになった、かな。
ようやく前回の失恋の傷が癒えてきたのを感じながら、三人で暖簾をくぐる。店内はわりと空いていて、すぐにテーブル席に案内してもらえた。
「よかったですね空いてて」
キョロキョロしながら椅子に腰かけ、メニューブックを手にする。
「汐月さん、何にする?」
しゃぶしゃぶ以外にも、地場野菜を使ったサラダやおつまみ、締めのけんちん汁なんかもすごく美味しそう……。
惹かれる料理の写真はいくつもあるけれど、とりあえずは乾いた喉を潤すことにしよう。
「えーと、とりあえず生でいいです」
「了解。すいませーん! 生三つください」
主任が注文すると、カウンターの中から威勢のいい返事が聞こえた。
おしぼりで手を拭きながら待っていると、すぐにお目当ての黄金色のジョッキがテーブルに三つ置かれた。