エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「それじゃ、今日はお疲れ様でした」
「お疲れさまでした~」
三人でジョッキを合わせ、私は喉を鳴らしながら今日のご褒美をいただく。
ああ……やっぱり、仕事の後の一杯は格別。しかも、今日は目の前で大好きな人の顔を眺めながら飲めるんだもんなぁ……なんて贅沢な時間。仕事も恋も調子が上がってきた今、私はこの上なく浮かれ気分だ。
その後、いくつかのおつまみのほか、やっぱりこれを食べなきゃね、ということで看板料理のしゃぶしゃぶを頼み、三人で鍋をつついた。
主任がよくしゃべる人なので会話に困ることもなく、私たち三人はしばらく楽しい時間を過ごしていたのだけれど。
「――やあ、お疲れ様。楽しんでいるようだね」
私と主任が背中を向けた方から、聞き覚えのある男性の声がした。唯一その顔を正面から確認した一誠さんの顔が、一瞬にして険しくなる。
「……青柳社長」
低い声を震わせて一誠さんが呟いた名前に、私も主任も弾かれたように後ろを振り返る。
そして、居酒屋に似合わないダンディな立ち姿が社長だとわかると、食べていたお肉をのどに詰まらせそうになった。