エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「私たち、お互いが必要なんです……一度別れてみて、それがよくわかったんです」

「彼を必要としているのはきみだけではない。百合もそうだが、もう一人……私の“孫”もな」

社長の、孫……? その言葉の意味がすぐには理解できず、怪訝そうに眉根を寄せる私に、社長は信じられない事実を口にした。

「百合は今、妊娠しているんだよ」

――妊、娠……!?

私は頭が真っ白になり、呼吸をすることも忘れて固まった。

ただただ驚いて瞬きを繰り返す私に、社長は言い聞かせるような口調で続ける。

「大切なひとり娘がシングルマザーになるだなんて、そんな可哀想なこと私には考えられない。経済的な援助は私にもしてやれるが、父親代わりは無理だ。だから、風間くんを娘に返してやって欲しい。彼を、父親にならせてやって欲しい」

……社長がここまで言うのだ。百合さんのお腹の子の父親は、間違いなく一誠さんなのだろう。

元、とはいえ婚約者だった二人の間に、そういう行為があったことも全然不思議じゃない。



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