エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「こないだの、デートの日……汐月さんを置いて僕が向かった先は佐伯さんの家でした。“風邪をひいて熱を出した”ってメール見て、いてもたってもいられなくなって」

私はあのときの、慌てていた唯人くんを思い出す。

そっか……。あれは、好きな人のピンチに駆け付けようと、必死だったんだね……。

「……でも、露子のことが好きならなんで私に告白を?」

「いえ、最初は本当に汐月さんのことが好きだったんです。年上だけど、純粋そうで可愛くて、仕事も頑張っていて。……それをいち早く見抜いたのが佐伯さんで、なんだか弱みを握られたみたいな形になって、流れで寝てしまったんです。……それでその、最初は一夜限りのつもりだったんですけど、佐伯さんの引力?に負けて、そうはならなくて……」

言いにくそうに、もごもごと話す唯人くん。セフレの件は、相手を伏せて露子から聞いていたけれど、そんな経緯があったんだな。

納得していると、居心地悪そうな唯人くんを助けるように、露子が説明を加えた。


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