エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「そのうちに情が移ったんだろうね。ホント、ちょっとした報告のつもりで“熱出してつらい”みたいなメールしたらうちまで飛んできてびっくりしたよ。しかも、巴とのデート中にもかかわらずだよ? ……ひどい女って思われるかもしれないけど、正直嬉しくてさ」
「露子……」
「ゴメンね巴。私、彼のことは好きだったけど、巴という大事な友達から奪うつもりなんか全然なかった。巴と彼が相思相愛なら、セフレも止めるつもりだった」
いつも自信満々の露子らしからぬ、愁いを帯びた微笑で語る。
「だから、来てくれるなんて全然思ってなかったのに、来てくれて……もう、我慢できなくてさ。私と巴といったいどっちにするのよって詰め寄ったら……いつの間にか私に本気になってたって、言ってくれて。でも、二人して巴にどんな顔して会ったらいいかわかんなくて……出張から逃げちゃった。社会人失格だよね」
ワンレンボブに手を差し入れ、自分たちの常識はずれな行動に呆れる露子。でもその穏やかな表情からは幸せがにじみ出ていて、社会人失格だろうと何だろうと、ふたりが結ばれたのはよかったと思った。