エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「よかったね露子。おめでとう」
「巴……」
「これは強がりでもなんでもなくてさ、私、全然ショックじゃないの。大好きな親友と可愛い後輩がうまくいって、むしろうれしい。……こんな気持ちなのに、流されて付き合うなんて言って、私の方こそ申し訳なかったよ。改めて、ごめんなさい、唯人くん」
ぺこりと頭を下げると、彼はふるふる首を横に振って、優しく笑ってくれた。
私たち、きっと誰も悪くなくて、少しずつ歯車がずれていたんだ。それが今ようやく、正しい位置に戻ったような気がする。
……だからと言って、全員ハッピー。とはなっていないのが悲しいところだけど。
「私もさ……やっと好きな人と結ばれた、と思ってたんだけどな」
私は俯きがちに、自分のことを告白し始めた。
露子は知っているけど、一誠さんには百合さんという婚約者がいたこと。
そして彼はその関係を過去のことだと言っていたけれど、現在その彼女の妊娠が発覚し、私は別れを選ぶしかないこと――。