エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「それは、きつすぎるね。せっかく両想いになれたっておもったのに、妊娠だなんて……」
「でも……その情報、本当なんですよね? なんていうか、部長がそんなミスするかなって、ちょっと疑問です」
メガネを指でくいと押し上げながら難しい顔をする成田くんに、露子が突っ込む。
「あのねえ、男だからピンと来ないのかもしれないけど、避妊に100パーセントはないんだから、いくら部長が抜け目のない男でも関係ないわよ」
「それはわかってますけど……」
唯人くんはまだ腑に落ちないようだけれど、私も露子と同感だ。一誠さんにとっては予想外かもしれないけど、大人の男女が寝るってことは、そういうこと。
きっと、まだ婚約解消する前に、彼らは……。
「巴。ショックだと思うけど、思いつめちゃダメだよ? 今夜は私、この部屋で一緒にいるよ」
「露子……」
ありがたい申し出に、素直にうなずいた。一人でいたら、悪い事ばかり考えてしまって、出張授業は明日もあるのに、仕事どころじゃなくなりそうだもの……。
「じゃあ、僕は自分の部屋に行きますね。おやすみなさい」
「唯人くんも、ありがとう。明日は頼りにしてるね」
ドアの前まで行き成田くんを見送ったあと、露子と二人になると、ホッと気持ちが緩んだ。
ベッドに戻って、気が抜けたように腰を下ろし、露子の肩にこてんと頭を乗せる。