エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
10.甘い束縛に溺れて

無事に出張授業の全日程を終え、翌日からは通常業務に戻った。

仕事中、ときどき一誠さんの姿を目で追っては、社長に聞いた百合さんの妊娠話が脳裏をよぎって落ち込んだ。

でも、露子に言われた“気が済むまで好きでいたらいい”という言葉のおかげで、落ち込むのも好きなんだから仕方がないよねと、少しは開き直っていられた。

片思いでもいいもん。そう自分に言い聞かせて。

そうして何とか定時に仕事を終え、トイレに行ってから自分のデスクで帰り支度を始めたときだった。

ふと、パソコンの画面の端にぺたりとくっついている小さな水色の紙に目が留まる。

【大事な話があります。僕の部屋へ来てください】

――それは久しぶりの、一誠さんからの付箋のメッセージ。

でも……喜べるものでないことは、明らかだ。大事な話というのは、もしかしなくても百合さんの妊娠の話だろう。

どうしよう……面と向かって、父親になるので別れましょう、とか言われちゃうのかな……。

そしたら、好きでいるだけ、っていうのも許されなくなっちゃう……?



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