エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

呆けた顔をする私を、一誠さんは優しい眼差しで見つめて、それからずっとつないだままだった手を、指を絡めるようにして握り直した。

「行きましょう。永遠の愛を誓いに」

え、永遠って……そんな、まるで結婚するみたいなこと……。戸惑いつつも、鼓動が早まっていくのを感じる。まさか本当に、結婚の約束を……?

ついさっきまでは、失恋するとばかり思っていたのに、こんな嬉しいこと、私の身に起きていいの……?

感極まって何も言えないでいると、ウエディングドレス姿の百合さんが近づいてきて、手に持っていた、バラを基調にしたピンク色の小さなブーケを、私の手に握らせた。

「巴さん。あなたたちのこと、たくさん邪魔してゴメンなさい。でも、それでも壊れなかった二人だもの。自信をもって?」

「百合、さん……」

うう……ダメだ。ライバルだと思ってた人からのエールなんて。感動するなって言う方が無理だよ……。

「ありがとうございます……行って、きます」

百合さんにむかって頷き、それから一誠さんを見上げる。

左手にはブーケ。右手には、最愛の人の大きな手を握って。私たちはゆっくりと、チャペルの中へ足を進めた。


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