エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~


私、汐月巴(しおつきともえ)は、医薬品メーカーのコバルト製薬、その東京支社に勤める二十七歳。

所属部署は機能性食品部で、いわゆる健康食品やダイエット食品の研究開発に携わっている。

その総勢十五名ほどの部署に、この春ひとりの新入社員が入ってきた。そして昨夜はその彼の、歓迎会だった。





「それでは今年も、有能な若き人材が入社してくれたことを祝して乾杯ー!」

「かんぱーい」

よくあるチェーン店の居酒屋。そのきゅうくつな個室で、歓迎会ははじまった。

私は新人さんからは席が遠く、とりあえず仲良しの同期、佐伯露子(さえきつゆこ)の隣で、ちびちびとビールに口をつけていた。

露子は、出るとこ出てるナイスバディのセクシー美人。前髪のないワンレンボブなんて普通は勇気のいる髪型がよく似合い、男性からもモテる。

それに比べて私は、とりわけ不細工ではないだろうけど、丸顔で平均的な身長しかなく、胸もお尻も、そして男性経験もさほどない。

髪型をお洒落に変えたりする熱意もなく、このところずっと伸ばしっぱなしのゆるふわパーマをひとつに結ぶだけで、ファッションも楽なパンツスタイルばかり。


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