エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「きみたちがむしろ犬みたいですね。じゃれ合うのも結構ですが、始業時間には遅れないでくださいね」
そう言って、ひとりさっそうと給湯室を後にした部長。
顔は笑っていたけれど、その背中がなんとなく怒っているような雰囲気だったため、残された私と成田くんの間にはなんとなく気まずい空気が流れた。
部長ってば、なんで急に冷たいオーラを纏ったんだろ……。
でも今はそれより成田くんだ。私の方が先輩だし、なんか会話ふらなきゃ。
「犬みたいって、失礼だね部長。別にじゃれ合ってなんかないのに」
「そ、そうですよね……。なんかすみません、俺が無駄話したばっかりに」
「ぜんぜん! そだ、私もコーヒーいれよっかな~。成田くんのもやってあげるよ」
いえ、自分でやります!と遠慮する彼の手からなかば強引にカップを奪って、コーヒーを入れてあげた。
「すみません、やってもらっちゃって……」
「お砂糖とミルクは?」
「あの、砂糖が二本でミルクは三個……」
恥ずかしそうにリクエストした成田くんに、私は思わず口元が緩んだ。
「あはは、苦いの苦手? 見た目通りにかわいいなー」
「かわいい……ですか……」
そう呟きながら、しょぼんと肩を落とす成田くん。
あっ、男の子にかわいいとか、失礼だったかな……。