エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「ごめん、いい意味なんだけど、いやだった、かな」
彼のコーヒーにさらさらとシュガーを落としつつ、謝った。
「いえ、そういうわけじゃ……あの、俺、汐月さんに聞きたいことがあります」
「うん? なぁに?」
シュガーもミルクもを入れ終わり、カップの中をティースプーンでくるくるかき混ぜながら成田くんのほうに向きなおる。しかし、彼は言い出すのをためらうように口をすぼめていた。
なんだろう。なんか、仕事上の深刻な悩み……?
首を傾げながらも黙って待っていたら、やがて意を決したように私の目をまっすぐに見て、成田くんが口を開いた。
「あの、汐月さんって……金曜日の会、どうして途中でいなくなっちゃったんですか? 部長も、一緒みたいでしたけど……」
私は思わず、ひゅっと息を呑んだ。ま、まさかこの子にそんなことを突っ込まれるとは……完全に油断してた。
「え、あ、それは……」
……やばい。どうしてって、それは部長に連れ出されて、二人で飲み直すことになったからだけど……その後マンションに連れて行かれ、しかも勢いでやっちゃったんだよね~なんて、この可愛い新入社員に言えるわけがない。