エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「だめだわ、巴。私でもあの男には勝てない」
「えっ……な、何言われたの?」
それが一番気になっているのに、露子は静かに首を横に振る。
「ごめんね、それは内緒。でもさ、アイツ意外と巴に本気なのかも」
私は受け取ったスマホを手に、目をぱちくりさせる。
ぶ、部長が、私に本気……?
「いや、あり得ないでしょ。だって、そしたら変なシミュレーションなんかする必要なくない?」
「まぁ、ね。どちらにしろ、一筋縄でいかない男なのは間違いないわ。せいぜい頑張って」
「が、頑張るって、何を……」
「んー、何をだろうね?」
そんなぁ、露子に見放されたら私どうすれば……。半泣きの私に、すっかり機嫌を直した露子はいつの間にかテーブルに届いていたトムヤムクンを勧める。
「ほら、辛いもので元気つけな」
親切に鍋から取り皿によそってくれ、それを受け取った私は微妙な心境のままスプーンを口につけた。
「うううう……辛い、酸っぱい、……けど、おいしい」
「でしょ? 私も食べよーっと」
お料理は美味しいし、一瞬露子との間に漂った変な空気もなくなってホッとしたけれど、部長とのことはモヤモヤしたまま。
そんな私に追い打ちをかけるように、スマホが短く震えて部長からのメッセージの受信を知らせる。その内容はこうだった。