エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
『浮気したことはごめん。でもやっぱり、顔を合わせる回数が多いほうが安心するし、巴も同じ会社でいいやつ見つけたら?』
別れ際、その彼に言われたセリフだ。
ただ謝るだけならまだ許したのに、あの忠告は完全に余計なお世話だよね……。
私はその発言にとてつもなく腹が立って、意地でも会社で恋愛なんかするもんかと心に誓ったのだ。
当時のことを思い出したら怒りまでふつふつと舞い戻ってきて、私は手酌で瓶ビールを自分のコップに注ぎ、一気飲みした。
「あーあ、巴が荒れてきた。席移動しよっかな」
「ちょっと露子、友達なら付き合いなさいよ」
「あ、新人くんの隣が空いた、行ってくるね~」
私の絡み酒を避けるように、露子が席を立ってしまう。
くそう、露子の薄情者……。話し相手がいなくなり、ますますビールが進んだ。
それからどれくらい経った頃だろう。一向に戻ってこない露子の席に、遅れてやってきたひとりの男性が腰を下ろした。