エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
あーあ……ほんと……寂しい人生だなぁ。
頭上を流れる雲をぼんやり眺めながら、ふとそんなことを噛み締めてしまった。
二十七歳ともなると、学生時代の友達が続々と結婚していき、早い子では子どもがいたりして、漠然と焦りを感じるようになってきた。
結婚すれば幸せってわけじゃないと、わかってはいるけど……私も、慎吾とうまくいっていれば、そういう未来もあったのかな……。
ふと、元カレとの楽しかった思い出が脳裏をかすめ、切なくなった。
彼と元に戻りたいとか、そんなことは思っていないし、ひとりでいるのも自由で楽しい。でも、このまま死ぬまでひとりだったらどうしようって、ときどき無性に孤独が怖くなるんだよね……。
はぁ、とため息をつき、ごみを袋の中にまとめる。
まだ昼休みは半分ほどしか過ぎてないけど、オフィスに戻ってヒマつぶしに仕事でもするか。そう思って、ベンチから立ち上がったときだった。
「――やっと、見つけました」
そんな声とともに、ゆったりとこちらへ歩いてくる男性社員がひとり。木漏れ日に目を細めながら近づいてくるその姿に、私は怪訝な顔をした。