エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~


ネクタイを少し緩めておしぼりで手をふくその人は、尖った鼻にふっくらとした涙袋、目尻にちょこんとついた泣きぼくろがセクシーで……。

酔っているので誰だか判断する前に、そのイケメンぶりをじっくり観察してしまう。

「僕の顔に何かついてますか?」

無遠慮な視線に肩をすくめて笑った彼に、私はようやく我に返って今度は挙動不審になった。

い、イケメンっていうか、自分の上司じゃないのよ! 何をぼうっとアホ面さらしてたんだ私……!

隣に座る泣きぼくろの彼は、風間一誠(かざまいっせい)、三十二歳。私たちの上司で、役職は部長である。

百八十センチはあろうかというモデル並みのスタイルに、ハイレベルな顔面偏差値。

加えて話し方や仕草が柔らかく、優しい雰囲気を纏う大人の男性で、女子社員から絶大な人気を誇っている。

しかし仕事では妥協を許さない厳しい面もあり、こうして隣で話すなんて緊張する相手だ。


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