エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
4.カタチを変えていく関係
「話すことはなにもありません」
怒ったような部長の声に、私はびくっと跳ね起きた。
私、仕事で何かやらかした……!? 寝ぼけた頭でそう思ったけれど、目の前の景色は、見慣れた自分の部屋だ。
なんだ、夢か……。もう一眠りさせてもらおう……昨夜も激しかったしね。
ぼんやりそう思いながら、ふたたび、壁の方を向いて横になる。すると、今度はさっきよりも鮮明に、部長の声が耳に飛び込んできた。
「きみと僕とはもう無関係じゃないですか。その証拠に、僕が今いる場所は、新しい彼女の部屋です。ちなみに、彼女は同じ会社の、同じ部署に勤めています。きみたちを見習って、僕も今度は、いつもそばにいられる相手と恋愛しようと思いまして」
背後をそうっと振り返ると、裸のままベッドに腰掛け、スマホを耳に当てる部長の姿があった。
……なんか、穏やかじゃない相手と会話しているみたい。というか、完全に元カノっぽい気が……。
中途半端に体を起こして部長の後ろ姿を見つめていたら、私の視線に気づいた彼がかすかに振り向いた。そして、口元に小さく微笑を浮かべて電話の相手に言う。