エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「お、お疲れ様です部長。今まで残業してたんですか?」
「……まぁ、そんなところです」
私の問いに、部長は微妙に濁した返事をする。しかし、それ以上語る気はなさそうだった。
こちらから突っ込んでいいものかどうかもわからないし、とにかく上司の隣なんて緊張するので、私はさりげなーく、彼が移動するように仕向けてみる。
「こんなところにいないで、新入社員とお話しないでいいんですか?」
「ええ、僕もそう思ったんですけど……今あそこにいったら、お邪魔じゃないかな?」
部長がちらりと視線を投げた先では、露子が新人くんの肩にしなだれかかっていた。さらには彼女の十八番、“必殺、妖し気な上目遣い”まで炸裂中。
うそ……ちょっと露子、年下はないんじゃなかったの!? 落とす気マンマンじゃない!
なんだか裏切られたような気がして、私は思わずつぶやく。
「会社の飲み会で誰かとどーにかなるなんて、私ならあり得ない……」
それが、部長の耳にも聞こえてしまったらしい。彼はふっと笑みをこぼして私の顔をのぞき込む。
「飲み会に、何か嫌な思い出でも?」
「え?」
今の独り言、もしかして部長に聞こえてた……!?