エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「付箋のことまで気づいてたの?」
「あのねえ。巴の顔見てればわかるって。仕事用のメモ的な付箋見たときには真顔のままだけどさ、部長からのラブメッセージだとふにゃっと頬緩んでますよ?」
からかうような視線に、私は思わず両手で頬を挟んだ。
「うそ……! き、気づかなかった……!」
でも、それが“部長から”のメッセージだということは、事情を知る露子しか気づかないはずだよね。……たぶん。
「ほかの人には、バレてないよね……?」
「さあねえ。いいじゃん、ばれたらばれたで変なシミュレーションなんかやめて、本当の恋人になっちゃえば」
「そういうわけには……。部長、なんか事情ありそうだし」
「事情?」
弓型のキレイな眉を片方だけ上げて不思議そうな顔をする露子。
私はこくりと頷いて、先日部長が意味深な電話をしていた件と、その後の彼の不可解な態度について露子に話した。
「へえ。その百合って女が元カノなのかしら」
「会話の内容からは、そんな感じだった、かな……」
一本目の電話が百合さんからで、もう一本の電話は、百合さんの知人か誰かからのもの。あの時の彼の様子から、私は勝手にそう予測している。