エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「付箋のことまで気づいてたの?」

「あのねえ。巴の顔見てればわかるって。仕事用のメモ的な付箋見たときには真顔のままだけどさ、部長からのラブメッセージだとふにゃっと頬緩んでますよ?」

からかうような視線に、私は思わず両手で頬を挟んだ。

「うそ……! き、気づかなかった……!」

でも、それが“部長から”のメッセージだということは、事情を知る露子しか気づかないはずだよね。……たぶん。

「ほかの人には、バレてないよね……?」

「さあねえ。いいじゃん、ばれたらばれたで変なシミュレーションなんかやめて、本当の恋人になっちゃえば」

「そういうわけには……。部長、なんか事情ありそうだし」

「事情?」

弓型のキレイな眉を片方だけ上げて不思議そうな顔をする露子。

私はこくりと頷いて、先日部長が意味深な電話をしていた件と、その後の彼の不可解な態度について露子に話した。

「へえ。その百合って女が元カノなのかしら」

「会話の内容からは、そんな感じだった、かな……」

一本目の電話が百合さんからで、もう一本の電話は、百合さんの知人か誰かからのもの。あの時の彼の様子から、私は勝手にそう予測している。



< 77 / 188 >

この作品をシェア

pagetop