エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
あっけらかんと笑う露子に、でもそれって、“体を”だよね……? と思ってから、気づく。
私と一誠さんだって、大して変わらないことをしているじゃない。むしろ、体だけと割り切っている関係より、よっぽどたちが悪いかもしれない。
ただ、一誠さんは……“体だけじゃない何か”も欲している気がするから。私も彼に必要とされる限りは恋人を演じて、彼に好きだと言い続けるんだろう。
……自分で彼のそばにいると決めたとはいえ、ホントおかしな関係だよね。
露子の後をついて歩きながら、私は彼女に気付かれぬよう、小さなため息をついた。
気を取り直してオフィスに戻り、私と露子と成田くん、そして主任という班のメンバーで、小会議室に移動した。
そこでは出張授業に関する詳細が主任の口から伝えられ、資料が手元に渡された。北関東の小学校をいくつか回るため、どうやら一泊二日の出張になるようだ。
二日間のタイムスケジュールや、授業の狙い、要点を主任から説明され、最後にまとめられた資料を読み込んでいると、ホワイトボードの前にいた主任が頼りない様子で言った。