エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「二日目の、最後の授業だけ部長が見に来るらしいんだ。俺が緊張して変な事言ってたら教えてくれな。よろしく」

「あはは、主任なら大丈夫ですよ。でも部長来るんだ~、めんどくさいですね」

率直に思ったことを述べる露子に対し、私はちょっとドキッとしていた。

オフィスでは普通に一誠さんと上司と部下を演じることに慣れてきたけれど、出張先で会うのはなんとなく緊張する。仕事だから、そんなに構える必要もないんだろうけど……。

俯いて難しい顔をしていたら、たまたま隣に座っていた成田くんが、心配そうに顔をのぞき込んできた。

「汐月さん、大丈夫ですか?」

「えっ?」

「いえ、なんか険しい顔されてたので……具合でも悪いのかなって」

いけないいけない、仕事中に個人的なことを考えたせいで可愛い後輩に心配かけてしまった。

私はすぐ首を横に振って、笑顔を浮かべて見せた。

「全然平気! 私もさ、部長が来たら面倒だな~って思って」

うまい言い訳が思いつかず、適当に露子の意見に乗っからせてもらう。成田くんも笑ってくれたけれど、心なしか笑顔に元気がない。……なんでだろう?



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