エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
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「ホント、いい子ですよねえ成田くん」
「……いい子、ね。僕には、まだ本性を現していないだけのように思えますが」
その夜、私は一誠さんの家にお邪魔して、彼と一緒にバスタイムを楽しんでいた。
じゃれ合いながら洗いっこをして、今は彼の胸に背中を預ける体勢でバスタブに入り、いろんな話をしている最中だ。
「本性? ……一誠さん、あんないい子に裏の顔があると思うんですか?」
振り返った先の彼は、もちろんと頷く。それから、バスタブのふちにもたれていた彼の両腕がちゃぷんと音を立ててお湯の中に入り、私のウエストに絡められる。
「ですから、気が気じゃありません。……泊まりで出張なんて」
すこし擦れた声が耳元で震え、胸がドキンと鳴った。
一誠さんは、一体何をそんなに心配しているの? 前に、成田くんとのことを嫉妬されたことがあったけど……もしかしたら、今回も?
「出張……私と成田くんが一緒だからですか?」
「ええ。彼が巴を狙っているのは、会社での様子を見ていれば明白ですから」