エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
家で身支度しなくていいっって、私がパーティーにふさわしい服なんか持ってないことを察して? まぁ確かに、私の持ってる、結婚式で着るようなドレスじゃ、一誠さんのお眼鏡にかなう自信は全くないけどさ……。
しかし、それより問題は“パートナー”だ。
そういうのって、ご夫婦なら妻を、未婚の場合なら、婚約者だったりちゃんとした恋人を連れて行くもんじゃないの? 私、一か月限定の“偽恋人”なんですけど……!
『嫌ですか?』
「嫌とかじゃなくて、なんていうか、私って“パートナー”と呼ばれるほどの立場じゃ……」
『立場なんか関係ありません。僕以外も、妻や恋人がいない者は、適当な異性を連れてきます』
……適当な、異性。そっか……それなら別に私でもいいのか。
ようやく話は理解できたものの、胸にはぴゅう、と冷たいすきま風が吹き抜けた。
一誠さんって、ときどき私に対してすごい独占欲を感じるけれど、別に“私だから”ってわけじゃないんだよね。
タイミング的に私がたまたま、疑似恋人に“適当な異性”だっただけで……って、ちょっと、なんで落ち込んでんの。