エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
時間通りに迎えに来た一誠さんに連れられてアパートを出ると、外には一台のセダンが止まっていた。車体の色は落ち着いたグレー寄りのシルバーで、上品な雰囲気の車だ。
「さ、乗ってください」
いつもは電車通勤の彼だから、助手席のドアを開けて微笑む姿はなんだか新鮮だ。
着ているスーツも、仕事ではブラックや濃いネイビーが多いのに、今日は明るいブルー。胸のポケットチーフも、フォーマルな華やかさを添えている。
それに比べて身支度しなくていいと言われている私は、適当なカットソーにジーンズを合わせたラフな格好。あとで着替えるとはいえ、こんな格好で一誠さんの車の助手席に乗せてもらうのが忍びない。
「……本当に、私なんか連れてっていいんですか? 後悔しません?」
運転席に座り、シートベルトを締める一誠さんの横顔に問いかける。すると涼しい顔で、彼はいきなり爆弾発言をした。
「後悔なんかしませんよ。本当は別の人を連れて行けと言われているのに、僕の意思できみを選んだんですから」