エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
え、ちょっと待って。別の人を連れて行けと言われている……? いったい誰に? そして別の人って誰? ここへきてそんな初耳情報を明かされたら、戸惑うしかない。
そんな私に気付いているはずなのに、一誠さんは構わず車を発進させた。
「一誠さん、なんですかそれ。確実に私行っちゃダメなヤツじゃ……」
「なぜですか。僕は自分のパートナーくらい、自分で決めます」
凛とした声で堂々と言われ、思わずときめきそうになったけれど、待てよ?と自分の気持ちにストップをかける。
「電話では“適当な人でいい”みたいなこと言ってたくせに……」
拗ねたように話す私に、一誠さんはふっと息を漏らして微笑んだ。
「……巴。僕は適当という言葉を“いいかげん”という意味で使ってはいません。パートナーに“ふさわしい”人物、それがきみだと言ったんですよ」
え……適当……って、そういう意味だったの?
落ち込んでいた気持ちがふっと軽くなり、そんな単純な自分の心の動きにまた動揺した。