エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「部長は、社内恋愛肯定派……なんですか?」
「別にどちらでもありません。が、大人だからこそ、恋に落ちるきっかけは何だっていいと思います。職場の飲み会の帰りに、勢い余って寝る。そこから本気の恋が生まれないとは限りませんよ?」
こ、このひと……なぜ私の過去の恋愛を見てきたかのようなたとえ話を……。
部長の言葉は私の心の傷をえぐるのには充分すぎて、無意識に眉間にしわが寄った。
“職場の飲み会の帰りに、勢い余って寝る――”
私はまさにそれを、付き合っていた相手にされたのだ。その後、浮気はあっさり本気の恋になって……だから、捨てられた。
「……そんなの、だらしないじゃないですか」
部長に対して失礼かもと思ったけど、お酒の勢いもあるし、なんだか悔しくなって言い返した。
でも部長は特に怒ることなく、余裕の笑みをこぼしただけ。
「だらしない、みっともないところもさらけ出してこそ、本気の恋でしょう」
「そんなの、開き直ってるだけです……っ! 本気の恋なら、たとえば、オフィスで、キ、キスとかしてもいいと思ってるんですか!?」