エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

私、なんでこんなささいなことで、一喜一憂してるんだろう。このやりとりも一誠さんにとっては全部“シミュレーション”なんだってば。

いや、待ちなさい巴。“一誠さんにとっては”って何よ。まるで私だけが彼に本気で……。

自分の気持ちを問うように、そっと首を動かしてハンドルを握る彼を見つめる。ただそれだけで、胸がドキドキ高鳴った。うそだ……私。まさか。

「どうしたの? 酔った?」

心配そうな眼差しに、ふるふる首を横に振って視線を膝に落とした。

酔ったとしたならそれは車にじゃなく、一誠さんに、かもしれません――。

声には出さないけれど、私はそんなことを思ってひとり落ち着かないドライブを過ごした。



まず二人で訪れたのは、ドレス専門ブランドのショップ。店内には色とりどりのドレスが並び、思わず心が躍った。

しばらく二人でドレスを眺めた後、私は試着室で一誠さんがチョイスしたドレスに袖を通してみることに。

「よくお似合いです」

「そ、そーでしょうか……」

試着室を出ると、待機していたショップ店員さんが褒めてくれる。でも、自分では似合っているのか自信がない。

ワインレッドのサテンドレスは胸元だけ黒のレースになっていて、とても色っぽいデザインなのだけど、こんなの自分では選んだことないから……。


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