エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
裾をつかんで首を傾げていると、店員さんが店内のどこかにいた一誠さんを連れてきた。
彼は真剣な顔で私の姿を上から下まで眺めたあと、満足げに深く頷く。
「いいですね。普段のきみどちらかというと女性らしさを隠すようなファッションが多いですけど、こういうセクシーなものも似合うと思っていたんです。やっぱり思った通りでした」
「あ、ありがとうございます……」
うれしいけれど、恥ずかしくてなんだかすぐにでもドレスを脱いでしまいたい気分。
それに、彼に言われるがままお店に入ってしまったけど、試着の途中で値札を見たらぎょっとするお値段だったし、早いとこ脱いで“ドレスはレンタルでいいです”って言おう……。
そう思って、再び試着室の方へくるりと向き直った瞬間だった。
「では、これをください。このまま着ていくので、タグは取っていただけますか」
え? え? 一誠さん、これ、買うつもり……!?
「はい。かしこまりました。お待ちの間、ドレスに合うアクセサリーもご覧になられますか?」
「ええ、是非」
その上、アクセサリーも? ちょっと待ってください!
私は勝手に話を進める一誠さんと店員さんの間に慌てて割って入った。