エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「あのっ! こんないいドレス、買っていただくわけには」
「気にしないでいいんですよ。これを着た巴に、僕の隣にいて欲しい。そんな自己満足を叶えたいだけですから」
「いや、だとしても……私、お値段、見ちゃったし……」
できれば半額でも払わせてくださいと言いたいけれど、その半額すら私にとっては目が飛び出る金額だ。
今回ばかりはたとえ一誠さんが本物の彼氏だったとしても、買ってもらうなんて申し訳なさ過ぎて……。
「巴、どうか受け取って。プレゼントを遠慮されるなんて、僕の方が哀れに思われます」
「え……そ、そんな……」
これ以上食い下がったら、一誠さんに恥をかかせてしまうってこと……? 私、どうしたら正解なのよ~!
私は思わず店員さんを見つめ、助けを求めたけれど。
「こういう時は、素直に男性のご厚意に甘えるのがよろしいかと思います」
にっこり微笑みながら、彼女も一誠さんの肩を持つ。
……本当にそうなのかな? 店員さんは、売上につながるから言ってるだけじゃなくて?
二人の言い分はなかなか信じきれなかったけど、ドレスが必要なのは事実だし、このあと靴屋にも、美容室にもいかなきゃならなくて、あまり言い合っている時間もなく……。