私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
☆02☆
その後入学式も終わり、今日は授業がないということでそのまま教室でHRを受けることになった。
「えーと、さっきはドタバタでろくに挨拶もできなかったが、俺は今日から1年間、君たち1年C組の担任となる、石田だ!よろしくな!
それでは、初対面も多く緊張しているかと思うが、それぞれ簡単に自己紹介してまずは自分のクラスメイトを知ってもらいたい!座席順にその場に立って一言挨拶してくれ」
担任の石田先生が教卓に手をついてそう言うと、途端に皆辺りをキョロキョロと見渡して落ち着きなく騒ぎ始めた。
やっぱり最初なんだから覚悟はしてたけど、自己紹介、あるんだ…。
「じゃ、1番から始めて。はい静かにー!」
石田先生の声で教室が静かになると、最前列の廊下側、出席番号1番の男子から順に立ち上がり挨拶が始まった。
「はいじゃ次、5番」
順調に一人一人が挨拶を済ませていき、次は5番目。
だけど、石田先生がそう指示しても、椅子を引く音は聞こえない。
「んー?5番ー、おい、5番誰だ。相田、有沢、岩山、江本、大槻……大槻だな?…っておい、入学後最初のHRで寝るヤツがあるかっ!起きろ!」
クラス名簿を片手に名前を確認した石田先生が、5人目の名前を読み上げてから1列目最後の座席に目を向けた途端、声を上げる。
「大槻!大槻郁磨!!おい、悪いが隣の女子、起こしてやってくれ」
隣の女子生徒に肩を軽く揺らされた彼は、完全に夢の世界に行っていたと思われるぼんやりとした顔でむくりと伏せていた頭を上げた。
「……」
気持ちよく眠っていたところを無理矢理起こされたこともあってか、その顔色は決して穏やかではない。
明らかに、機嫌悪い。
「おい、大槻。初っ端から居眠りとは何だ。今一人一人立って自己紹介中だぞ。次はお前の番……」
「……(キッ)」