私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
石田先生がやれやれと言わんばかりの表情で説明していた最中(さなか)、大槻くんは雷光が迸るがごとく鋭い眼差しで石田先生に無音の槍を突き立てた。
「なっ…!お前、教師に向かって……」
「……。大槻郁磨。うるさいの嫌いだからあんまり声かけないで。よろしく」
面倒だと感じたのか、一方的に石田先生の言葉を遮り、言いたいことだけ言うと、彼はまた机に顔を伏せて眠ってしまった。
「おい寝るな!……あーもういい。これじゃ話が進まん。次、6番」
石田先生も観念したのか、すでに夢の世界へ戻ってしまった様子の大槻くんを放置し、次の番号の生徒に順番を移した。
私、大槻くんとはそこまで接点を持った記憶はないけど……彼も元クラスメイトだったのは確か。
そう、あの日の放課後、教室で七海にキスされた時、ドアにもたれかかってそれを傍観していたのも彼だった。