私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜


「すっごーい。あたし、石田先生はこの学校1の熱血教師って聞いたよ?そんな先生に早々からため息をつかさせる郁磨くんって一体……」


咲ちゃんは目をまん丸く見開いて、マイペースに熟睡している大槻くんをまじまじと見やった。


確かにあの据わり切った度胸は只者ではないけど……。

ただ、わがままなだけでしょ。


「それにしても綺麗な顔だよねぇ、郁磨くん。中学の時から思ってたけど、まつげなんてこーんなに長くて、透明感あって、色素が薄くて、どこかハーフみたいなところがあってさぁ」


確かに綺麗な顔だったかもしれないけど、そこまでよく観察してないからわからない。

私は興奮冷めやらぬ咲ちゃんに苦笑いで軽く相槌を打つ。


「ってそんなこと言ってる間にもうあたしたちの番近づいてるよっ!と、その前に……」

「?」


生徒たちの自己紹介はあっという間に過ぎていき、次は3列目、私の隣。

ヤツの番だ。


「篠山中出身、七海遥。よろしく」


……。それだけ??


大槻くんみたいに座ったままってことはなかったけど、本当に必要最低限の情報だけ伝えて挨拶を終えた七海。

も、もう少し言うことあるんじゃないの?


成績だってトップクラスで、確か小学校の頃はサッカー部にも入ってたはずだし、中学でも続けてたのかとか、高校でのこととか……。


「なんか呆気ない挨拶だね。それはそれでクールでカッコいいけど♡」

「……そ、そうかな?」


咲ちゃんをはじめとした、その他女子大勢にはなぜか好評だったらしい。

理解不能だ。だって最初の挨拶なのに。

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