私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
がっつりと沙梨奈の腕を掴んで、物凄い形相でじっと彼女を見つめる先輩らしき女子生徒。
ネクタイの色から察するに、どうやら3年生のようだ。
3年生ならもう引退も間近で受験もあって忙しいだろうに、こんなに目を光らせて沙梨奈に何か用事だろうか。
「え、えっと、そうですけど……」
「やっぱり!!私、あなたをずっと探してたの!!あなたが小学生のときに常葉小女子バスケ部として出場してた県大会の試合、私偶然見ていたの。私その頃からあなたのこと、絶対自分のチームに入れたいって思ってたのよ!!」
その先輩いわく、どうやら他校に通う先輩の妹さんも当時バスケ部に所属していたらしく、沙梨奈の出身小学校である常葉小の対戦校だったんだとか。
まさか、沙梨奈が小学生時代、バスケ部だったなんて初めて知ったけど……。
確かに、部員でもなかったのに、中学校の体育の授業ではいつも先生の相手役として生徒の見本にされていた。
中学は3年間茶道部だったみたいだし、全然気付かなかったけど。
「まさかあなたが私の後輩になるなんて思わなかったわ!!面影があったからもしかしたらと思って声かけて正解だった!ねぇ、よかったらウチの女バスに入らない?話だけでも聞いて行ってほしいの!!」
その力強いもの言いに沙梨奈も戸惑いながら、気づけば彼女は半ば強引に、部の区画まで連行されてしまった。
あぁ、1人になってしまった。
仕方ないから、他の部活を見て回ろうかな。