私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜


その部屋をしばらく眺めていたときだった。


ガララッ!!


え??

閉められていたはずのドアが勢いよく開けられ、中から誰か、知らない生徒が現れた。


「うおっ!?」

「きゃ!」


突然大きな声を出されてびっくりした私も、それにつられてちょっとした大声を上げてしまった。


「え!?あ、悪い!まさかすぐ外に人がいるなんて思わなくて驚かせちまった!」


片目を少し開けると、そこには180センチくらいありそうな高身長な男子生徒が少し困った様子で立っていて。


「こ、こちらこそ、すみません。大きな声を出してしまって……」

「いや、突然ドアを開けた俺が悪かった!ごめん!」

「い、いえ、私が……」

「いやいや俺が……って、何だよこの会話!じゃぁお互い様っつーことでチャラな」


身長155センチの私よりもずっと大きな体で高い位置から言葉を発しているのに、その人懐っこいくしゃっとした笑顔からは、威圧感とかそういう怖い圧力みたいなものが全く感じられない。


なんだろ、この人。話しててすごくほっとする。


「……ん?な、なぁ。アンタ、俺とどこかで会ったことなかったか?」

「え、どこかってどこでですか?」

「いやだからそれはわかんねぇんだけど…。ま、まぁいいか。俺、ちょっと行くとこあんだ。そんじゃ、またな」

「え?あっちょっと…」


その人は優しく私の肩を押して道を開けると、爽やかな笑顔でそう言って、颯爽とその場から去って行った。


一体誰だったんだろう。

会ったことないか?って、見たことも話したこともないはず、なんだけど…。


ん、いや、あの健康的に鍛えられた逞しい体格と、少し日焼けしたような肌、意志の強そうな黒い瞳……。

なんとなく、どこかで……。


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