私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
「いったぁ……」
「ごめん、沙梨奈、イタタ……」
「ううん、サリこそごめん〜」
ジンジンと痛む額を手で押さえつつ、顔を歪ませる沙梨奈に謝る。
全く……何でこんなことに……。
「わー、2人とも大丈夫??」
私と沙梨奈がことの発端となった相手に目を向けると、そこには明らかに他人事な感じで、大して心配もしてないだろう軽い口調で話す長身の先輩らしき人が。
「ちょっと、大和!なーに朝から早速入学したての1年生ナンパしてんの!」
「あー?人聞きの悪いことを言うなよ」
私たちが反応する間もなく、今度は新たに廊下の向こう側から呆れた様子でこちらにやって来る別の男の先輩の姿が視界に入る。
「そこの2人の子、ごめんね!きっと大和に変なこと言われたんでしょ?あんまり気にしないでやって!」
「おいおいチカ。俺はまだなーんにもこの子らに手出ししてねぇよ?」
「まだ、でしょ?これからする予定なんだから先に教えておいてあげないと被害を受けるのはこの子らだもん」
ここまでやって来たその先輩は、開口一番、私と沙梨奈に両手を合わせてお詫びすると、それを横で眺めていたさっきの先輩が、心外だとも言わんばかりの表情で目を細くして彼を睨んだ。
2人ともネクタイの色が青だから、どうやら2年生のようだ。
ちなみに今年は私たち1年生が赤で3年生が緑。毎年、前年に卒業した3年生のタイの色を新1年生が引き継ぐのだ。
これはそのまま学年色となる。